のむのむものあやまり

M E S S A G E 1 9 9 9


  1. 防災の日
  2. 鉄人リプケンの引き際
  3. 前園ガンバレ!
  4. 「私と小鳥と鈴と」

  5. 梅雨の候
  6. 教育実習のこと
  7. 6月23日
  8. ののちゃんの自由研究
  9. S先生からの手紙
  10. 秋冷の候
  11. 環境にいいことしてる?
  12. 11.11.11.11.11.11の瞬間
  13. 学年集会のこと

防災の日


 9月1日は「防災の日」である。もちろん、関東大震災の惨事が起こった日である。

 明石海峡大橋の上からテロで爆発物がLNGタンカーに投じられたら‥‥瞬時に数`四方を火球に包み、大橋の丸焼けができる。和歌山県で計画中の関西電力の御坊第2発電所では、ベネズエラ産のタールのような油にノニルフェノールエトキシレートという界面活性剤を混ぜて水溶化してできるオリマルジョンという新燃料を使うそうだ。ノニルフェノールは、近頃はやりの環境ホルモンだそうだ。これがまき散らされるとしたら‥‥。

―以上は、朝日新聞「なぎさ海道」(明石・林崎漁協職員)より―

 とんでもない話だが、そんな時代に生きている。「阪神大震災」以後も地震は起こり、「ナホトカ」以後もタンカー事故は続いている。

 話は変わるが、当分の間「チェルノブイリ」にこだわっていきたいと思っている。  




鉄人リプケンの引き際


 マグワイアとソーサのホームラン新記録競争が大きな話題になっている。

 目立たない話だけれど‥‥大リーグの連続出場記録を更新していたリプケン選手が、自ら申し出て20日の試合の出場を辞退した。記録は2,632試合でとぎれた。16年余りにわたるすごいことだった。 

 関係者の言葉。「これでみんな解放される。リプケン自身も含め、みんな楽になる。」リプケンもチームも不調だったようだ。しかし、偉大な記録を止める役目は誰だってやりたくない。引き際を設定できるのは本人しかなかった。 

 ちなみに、大好きなマラソンにおいても大変な記録が出た。ベルリンマラソンで、ブラジルのロナウド・ダコスタが2時間6分5秒で優勝した。記録は破られるためにあるそうだが、後から続く者は大変だナ。




前園がんばれ!


 もちろんのこと、ペルージャの中田選手の活躍ぶりを新聞は大々的に伝えている。おまけに、こちらはインターネットでも追っている。チームもやっと1勝できたことが嬉しい。   

 一方、アトランタの僚友である前園の記事は、小さくしか扱われなかった。オリンピック後ヴェルデイ川崎に移ったが、不遇の身という感じであった。力を十分発揮できていないと思ってきた。

 突然のブラジルのサントスへの移籍である。彼のがんばりに期待する。このままで終わるのはもったいない。早速、試合に出て1点を上げた。中田におとらず、センセイショナルなデビューを飾ったことになる。ガンバレ!ゾノ! 




「私と小鳥と鈴と」


 私が両手をひろげても、 

 お空はちっとも飛べないが、

 飛べる小鳥は私のように、

 地面(ジベタ)を速くは走れない。


 私がからだをゆすっても、

 きれいな音は出ないけど、

 あの鳴る鈴は私のように

 たくさんな唄は知らないよ。


 鈴と、小鳥と、それから私、 

 みんなちがって、みんないい。


 金子みすずさんのすてきな詩です。T先生に教えていただいた、すばらしい詩です。



梅雨の候


 朝方の突然の強い雨で、近畿地方の梅雨入りを確認。こんな日は、朝の学年集会も中止のはず。ところがどっこい、わが中学校の運動場は、ほんのお湿り程度でしっかり乾いている。今日は私のしゃべる番だ。     

 職員室にいると、大きな歌声が聞こえてきます。きっと一泊移住のスタンツに違いありません。いい声が出ていたから、ずいぶん嬉しくなりました。
 明日は中学校で初めての中間テストの結果が出る日です。テストの見直しというのをやってもらいます。社会科のテストでいえば、先生の予想を超えてずいぶんがんばってくれたと思っています。よく頑張ったねと誉めておきたいと思います。でもね、テスト時間に、早くやり終わった人の態度は良くありませんでした。きょろきょろしたり、ひどい場合は隣の子としゃべってみたりで、反省すべきことも多いと思います。テストは1回きりではなく、これから3年生に到るまで何回も続くものです。これで終わらず、反省点を次に生かすことが大事です。きちんと、自分なりの見直しをして下さい。 
 大切なのは、自分の可能性を信じることです。勉強も、いろんな行事も、一生懸命取り組んだら思わぬ結果が出てきます。小学校のときからみたら、がんばった分、いろんなことができる自分を発見できたのじゃないかな。これからもそうであって欲しいと思います。先生も4,5月は調子が悪かったけれど、今は元気になりました。一緒にがんばっていきましょう。  

 ‥‥なんてことを話しましたが、あまりうまくできかったようです。まあいいか。生徒の前で、ニコニコといい顔ができることが一番いいことだと最近よく思う。そうでないと、こわい顔をしているとか、暗いよとか‥すぐに言われるからね。




教育実習のこと


 久しぶりに教育実習生の指導を担当することになった。3回目である。この前はいつだったか、記憶が定かではないが、たぶん15年以上は経っているものと思われる。 

 指導するというよりは、いろいろ教わったことの方が多いかもしれない。教室の後ろの席に座って、生徒と同じように授業を受けていると、よくわかったり、よくわからなかったり、おかしくて笑ってみたり、考え込んでみたり、ちょと居眠りをして隣の生徒に「先生、寝てたでしょう」なんて言われてみたり‥‥。結構教わる側も大変だと思った。それがわかっただけでも、大きな収穫だ。

 生徒も実習生の授業に慣れてきて、どんどん発言するようになって、いつしかテルテル(生徒がつけた、実習生の愛称である)風に染まってきたようだ。元に戻せるだろうかと心配してしまったりした。

 ともかく、よくがんばったと思う。テルテルさん、大変ありがとう!若さと、元気と、ひたむきさと、子どもへの思いはすばらしいものでした。現場の本物の教師はいつも楽しいことばかりではなくて、頭の痛いことも多いし、胸の痛むこともあるけれど、ひとりひとりのこどもに目を配り、気にかけることが教育の原点なんだね。またまた、教わったような気がする。

 つむじ風のように、大学のある東京へ去っていったけれど、元気でいて欲しいと思う。ノムノムも、まだまだがんばるゾ!




6月23日


 記念日ばやりで、毎日が何らかの記念日である。だけど、同じように扱って欲しくない日がいくつもある。日頃は忘れていたとしても、せめてその日が来れば、考えてみたいことがある。その中に6月23日を加えたい。  

 沖縄戦から54年、今日は「慰霊の日」である。さて、何があった日なのか?次の中から選んでみよう。(朝日新聞より、沖縄県の高校教諭である新城俊昭さんによるアンケートから)  

 @沖縄戦が終結した日 A日本軍が降伏文書に調印した日 B牛島司令官が自決した日 Cわからない 

 正解はBだが、回答は22.8%だったそうだ。司令官の自決で日本軍の組織的な戦闘が終わったにもかかわらず、9月7日の降伏文書調印まで犠牲者が相次いだことが、この戦争の性格を如実に示している。軍隊は住民を守るものではないという事実である。

 「平和の礎(イシジ)」から「県立平和祈念資料館」の建設、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)、沖縄サミットと続くこの国の行方を見定めたい。

 機会があれば、また訪れたい島である。そう言えば、沖縄以外にも行ってみたいところがいくつか残っている。できれば、観光コースを外してゆっくり回ってみたいところの一つである。




ののちゃんの自由研究


 「地名のなかに地球が見える」(朝日NIEサマースクール)というページ(朝日新聞1999.7.30)より 

 「町の名で、ドイツでブルク、フランスでブール、イギリスでバラ、ロシアでグラードがつくのは、城壁都市を指します。敵から守るため壁で囲んでお城のようにした町です。アジアではブラとなり、ライオンの意味のシンガと組み合わさってシンガポールという国の名になりました。」

 ハンブルク(ドイツ)、ストラスブール(フランス)、エジンバラ(イギリス)、ペテログラード(現サンクト・ペテルブルグ、ロシア)と思いつくところを挙げてみた。ちなみに、サンクト・ペテルブルグはピョートル(ドイツ語風にはペテル、英語風にはピーター)大帝のつくった町だが、町の名は別の意味を持っている。「聖ペテル」(イエス=キリストの弟子)の名を取ったようだ。

 大きな意味はないけれど、社会科(地理)でヨーロッパを教えているところだからね。それに、ハンブルクとサンクト・ペテルブルグには、この夏、行く予定である。壁があるのかないのかを確かめてみたいと思う。日本では水をたたえた濠(ホリ)がその役割を果たしてきたといえるが、強力な外敵が攻めてこなかった分、石の壁は必要なかったと思う。それに、壁が守るものが城(為政者の住居・戦いの砦)なのか、町なのかについては歴史の違いを感じざるを得ない。

  


S先生からの手紙


 S先生からの手紙(Eメール)を読み上げた。「僕の好きだった先生です。」と言ったら、子どもたちはキャーとか、エーとか、アララ‥とか、遠慮なくわめいていた(失礼!)。予定通りの展開ですから、ボクには動揺はありません。本当のことだしネ。この後、きちんと僕の話を聞いてくれました。

 本校を出てからもう2校目になる。先生方によろしく!ということのほかに、「生徒たちも変わりないでしょうか?」とあったから、子どもたちにも紹介しました。いつまでも本校のことを気遣ってくださる、ということはすばらしいと思いませんか?その思いをきちんと受け取らなければいけないと思います。

 ちなみに、偶然ですが、今彼の勤務している学校の校長先生、教頭先生をボクは知っているので、悪いことはできないよ、しっかり!と忠告しておきました。

 本校に勤務したことが彼の人生を変えたかも知れない、なんて思うのは、思いすぎだろうネ? がんばらなければ、申し訳ないと思う今日この頃です。  
  


秋冷の候


 知らない間に発生して消えていった台風16号。「台風一過」という言葉を知っていますか?「台風一過の秋晴れ」なんて言います。クソ暑い「残暑」とやらが居座っていますが、暦の上では「秋冷の候」なんて言い方をします。朝方の涼しさを言ったものと思いますが、それにしても暑い。どうなってるのだ、日本の秋は? 失礼しました。ヨーロッパ帰りなもので。 

 ボクは手紙(あるいは、Eメール)を書くときには、できる限り、時候のあいさつを書くことに努めています。四季の変化がすばらしい日本にいて、その折々の木々や草花の移ろいを見過ごしてはもったいないと思いませんか?

 「前略」なんて、よくないです。きちんと書くようにして欲しいと思います。 

 最後に、季節の変わり目は体調を崩しやすいから気をつけて下さい、などと言ってお茶を濁したようだ。自分に言い聞かせるような、落ちのない話だったようだ。 

  


環境にいいことしてる?


 今回のテストのラストの問題は「快適な環境を守るためにあなたやあなたの家族が取り組んでいることは何ですか?」でした。いろいろな解答があって、楽しく読ませてもらいました。ちなみに、模範解答などありませんが、ボクのこと及びわが家のことなどまとめてみます。これを読んだ方で、こんなものもあるよ、というところを教えていただきたいな。

 ボクのこと 

 家族のこと

 きっとまだまだダネ。

  


11.11.11.11.11.11の瞬間


 グリコが無理やり考案した「ポッキーの日」、漢字転換をした「鮭の日」、ワンワンワンと読んで「犬の日」など、なるほどこの日はありがたい記念日のようである。このことを知る以前から、気になる日ではあった。平成11年11月11日までは、どうにも気になっていた。

 おまけにいろんな尾ひれがついて、この日の11時11分11秒にお願いごとをすると、それがかなうとのこと。こういうことを見逃しはしない。早速ボクは1時間目から順に、N大先生から聞いたお話として、生徒に語りかけていった。お遊びではあるが乗るかどうかダネなんて言いながら、ボクはやるぞ!と決意をした上で提案する。この時間になったら、みんなでお願いをしよう!なんて呼びかけた。

 運命の3時間目は、2組だった。授業中にも関わらず、この時間が来たら、という前置きで話をすると、すぐに乗ってくれる子どもたちがいる。ウーン、こちらも落ち着かない。願いごとも整理しておかなければならない。時間が通り過ぎてはいけない。生徒の助けも借りて、遅れないように気をつけた。1分前から、1分前、50秒前、40秒前、と時間の経過を報せていく。何と10秒前からは、みんなで一緒に10、9、8、と自然にカウントダウンが始まった。ゼロ!の声と共に一斉に沈黙。みんな、それぞれのスタイルで、お願いごとをしていたはずだ。というのは、ボクだってお願いごとはあったわけで、目をつむって合掌をしてお祈りをしたから、みんなの様子は分からない。願い事はたくさんあって、結局、最後に目を開けたのはボクだった。つまり、一番の欲張りだったわけである。しかし、良かった!良かった? でもね、お願いの中身はもちろん秘密だけれど、最初にお願いをしたことは、子どもたちが明るく、楽しく、健やかに成長しますように!という営業用のお願いだったのだよ。 

 結局、ポッキーを食べるということはなかったのだけれど、一つの運命の日が過ぎた。他にも嬉しいことがあって、いい日だった。ボクは、いつも単純だよ。簡単で純なわけだ。純粋というわけではなく、純と言った方が正しいような気がする。

 窓から隣の公園を覗くと、しっかり紅葉が始まったようである。確実に秋が深まって行く。 

  


学年集会のこと


 学年集会で話をする順番がやってくる。まだまだかなと思っていたが、学年黒板に僕の名前が書いてあった。昨日のことだ。気づくのが遅くて良かった。早く知ってしまうといろいろ考えてしまうから。そして、今日だ。小春日和のいい天気だった。

 ボクは1年に所属して、授業や学年の行事やいろんなことに参加していますが、一方で3年生の進路のお世話をしています。今、3年生は自分の進路を決定する大事な時期にさしかかっています。きみ達の兄さんであったり、姉さんであったり、クラブの先輩であったりしますが、是非そのがんばりを感じ取って欲しいなと思います。併せて、自分の将来のことを考える機会を今後つくりたいと思いますが、しっかりと取り組んで欲しいなと思います。

 でもね、テストでいい点を取って、いい高校に行って、ということだけに終わって欲しくないと思います。 

 ボクが今、通勤の電車の中で読んでいる灰谷健次郎さんのエッセイから、気になったことをあげてみます。灰谷さんは、人生を20年ごとに区切っているようです。初めの20年はがんがん勉強していろんな事を吸収し、次の20年は人のために一生懸命仕事をして、次の20年は自分の好きなことを思いっきりやるとのことです。淡路島に住んで農業に精を出しながら、小説を書き、講演のために全国を飛び回ってきました。今は沖縄県の渡嘉敷島に住んで素潜り漁をしながら、小説を書いています。とても彼のマネなどできません。

 灰谷さんが島のおばあちゃんとお話をしています。ちょっと気になったものですから、紹介してみます。おばあちゃんがしゃべり、灰谷さんが「なるほど」なんて相づちを打っているシーンです。あばあちゃんが言いました。「頭をよくするために勉強するのではないですよ。心を良くするためです」「わたしは孫に言うのです。勉強をするのは、えらい人になるためじゃなくて、いい人になるためだよって」「人は頭で勝負してはいけない。心で勝負するんです」

 ボクも、心を鍛えるために勉強したいなと思います。みなさんも考えてみて下さい。(余談ですが、今読んでいる本の名は「すべての怒りは水のごとくに」です。少しずつ繰り返し読んでいるのでなかなか終わりません。是非、読んでみて下さい。)

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