読書ノート 2010



警官の血

食堂かたつむり

武士道シックスティーン

使命と魂のリミット

春を嫌いになった理由

真夏の島に咲く花は

1Q84

イチロー VS 松井秀喜

走ることについて語るときに僕の語ること

カシオペアの丘で

非正規レジスタンス

母−オモニ−

だから、僕は学校へ行く!

恐れるな!

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

熊嵐


『警官の血 上・下』(新潮文庫 佐々木譲)

昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。 人情味溢れる駐在だった。だが、五重塔が火災にあった夜、謎の死を遂げる。

その長男・安城民雄も父の後を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。 大学生として新左翼運動に潜り込め、というのだった。安城民雄は、駐在として谷中へと還ってきた。心の傷は未だ癒えてはいない。 ある日、立てこもり事件が発生し、民雄はたったひとりで現場に乗り込んだのだが‥。

そして、安城和也もまた、祖父、父と同じ道を選んだ。警視庁捜査四課の一員として組織暴力と対峙する彼は、密命を帯びていた。

すでにテレビドラマを見ていたから、あらすじはほぼつかめているはずだと思っていました。 それなのに、読み終えるのが大変で、なんであんなに時間がかかったのでしょうか?

あはは‥寝る前の少しだけの読書に成り下がっていたからです。 あるいは、すぐに本を閉じて、ころっと眠てしまうという健康的な読書で終わっていたからに違いありません。 もしくは、内容が重すぎたせいかもしれません。 3代にわたって警察官を務め、事故又は殉職で終わった前2代の謎を解き明かすことは避けられなかったに違いありません。



『食堂かたつむり』(ポプラ文庫 小川糸)

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、 倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、 一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。

故郷がどこなのかがずっと気になっていました。分からないまま終わりましたが、縄文の昔から人に恵みをもたらしてきた森に 違いありません。

失った声を取り戻す場面が印象に残っています。初めての声は「お、」「おいしい」「ありがとう」でした。



『武士道シックスティーン』(新潮文庫 誉田哲也)

武蔵を師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。 敗北の悲しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、 剣道部で再会を果たすが‥。

『ジウ』を書いた人が、この作品を書いたわけですね。まもなく映画化されることと、続編があることに期待します。



『使命と魂のリミット』(角川文庫 東野圭吾)

「医療ミスを公表ししなければ病院を破壊する」突然の脅迫状に揺れる帝都大学病院。「隠された医療ミスなどない」と断言する 心臓血管外科の権威・西園教授。しかし、研修医・氷室夕紀は、その言葉を鵜呑みにできなかった。西園が執刀した手術で帰らぬ人 となった彼女の父は、意図的にしに至らしめられたのではという疑念を抱いていたからだ‥。あの日、手術室で何があったのか? 今日、何が起こるのか? 大病院を前代未聞の危機が襲う。

東野圭吾はすでに読み込んでいたから、もういいかな‥と思っていました。でも、この作品を読んでみたところ、参ったな‥でしたね。

たまたまですが、町の小さな本屋さんでこの本を買ったのですが、その包装紙に書かれていたことが気になりました。
北陸新幹線が全線整備されると各都市間が次の時間で結ばれます。

 大阪−福井間:45分(約 60分短縮)
 大阪−金沢間:1時間05分(約 80分短縮)
 大阪−富山間:1時間20分(約100分短縮)
 大阪−上越間:1時間52分(約140分短縮)
 大阪−長野間:2時間08分(約100分短縮)



『春を嫌いになった理由』(光文社文庫 誉田哲也)

フリーターの秋川瑞希は、テレビプロデューサーの叔母から、霊能力者・エステラの通訳兼世話役を押しつけられる。 嫌々ながら向かったロケ現場。エステラの透視通り、廃ビルから男性のミイラ化した死体が発見された。 ‥‥‥読み始めたら止まらない、迫真のホラー・ミステリー!

タイトルと作者である誉田哲也氏に惹かれて読み始めたが、さほど、面白いとは思わなかった。 意地になって読み終えただけのものだった。



『真夏の島に咲く花は』(講談社文庫 垣根涼介)

陽気で大柄、機嫌悪くなるのは空腹時と眠い時、そんな典型的フィジー人とつきあう茜。良昭は店の従業員に 「お客様の料理を食べてはいけません」と教えなくてはならない。ここは独特の文化と時間が流れる楽園なのだ。 しかし、若者たちのすれ違い、住民の対立、暴動が彼らの人生を変えていく。幸せとは何か。

フィジー、果てしなく遠く感じる国。日付変更線をまたぐ国である。このフィジーに多くのインド人が住み、 日本人が仕事をしている。そのあたりから説明する必要がありました。

小説の進行もずっとのんびりで、それに合わせるのが辛いような、楽ちんのような。そのまま、終わってしまった物語でした。



『1Q84』(新潮社 村上春樹)

いよいよ、ようやくの完結編である。

2人の主人公のすれ違いというシーンは見飽きるほど見てきたから、今回の完結の方が安心できた。



『イチロー VS 松井秀喜』(小学新書 古内義明)

サブタイトルは「相容れぬ2人の生き様」である。 野球以外で、食事とか、ファッションなど生活スタイルにおける違いに興味が沸いた。 もちろん、イチローのこだわりと松井秀喜のオーソドックスなところである。

しかし、いずれも好みの問題であって、野球に対する真摯な取り組みには違いはない。

イチローの相変わらずの活躍にたいして、まさかのヤンキースからエンジェルスへの移籍にも 動揺なしに見える、そんな松井秀喜の活躍が期待されるところである。



『走ることについて語るときに僕の語ること』(文春文庫 村上春樹)

「みんなにいい顔はできない」、平ったく言えばそういうことになる。
店を経営しているときも、だいたい同じような方針でやってきた。店にはたくさんの客がやってくる。 その十人に一人が「なかなか良い店だな。気に入った。また来よう」と思ってくれればそれでいい。十人のうちの一人が リピーターになってくれれば、経営は成り立っていく。逆に言えば、十人のうちの九人に気に入ってもらえなくても、 べつにかまわないわけだ。そう思うと気が楽になる。しかし、その「一人」には確実に、とことん気に入ってもらう必要が ある。そしてそのためには経営者は、明確な姿勢と哲学のようなものを旗じるしとして掲げ、それを辛抱強く、風雨に耐えて 維持してしていかなくてはならない。それが店の経営から身をもって学んだことだった。

1年に1回のフルマラソン、やがてトライアスロンにまで手をだしてしまった春樹さん。毎日の練習は理に適ったもの のようです。わたしは、ようやくウォーキングに目覚めたばかりですから、春樹さんと比べようもないし、比べる必要は 元々ありません。目標はとりあえず、1年間は続けよう‥ということくらいで、しばしば、暑さ寒さに参ってしまい、 お休みが増えています。 ようやく秋めいてきましたし、長居公園までの足となる自転車を買い換えたので、なかなかサボることができなくなりま した。

僕は何もしないで放っておくとじわじわ太っていく体質である。それと対照的に、うちの奥さんは どれだけ食べても(量は食べないが、何かあると甘いものを食べる)、運動をしなくても、太るということがまったくない。 贅肉もつかない。そのことで僕はよく「人生は不公平だよな」と思ったものだった。ある人が努力しないことには得られない ものを、ある人は努力しないでどんどん得ていく。

わたしのウォーキングは元々、運動不足解消(高血圧対策)のために始めたものです。煙草をやめてしまったことと合わせ、 ずいぶん健康的になったような気がします。体重を増やさないためにせっせと運動をしなければならないわけだけれど、 とにかく、「適正体重が自然に定まってくる」あたりまで続けたいものです。「ウォーキング大会への参加」や「街歩き」 に耐えられる体だけはつくりたいと願っています。あはは‥今のところ、楽しんで参加させて貰っています。



『カシオペアの丘で』上・下(講談社文庫 重松清)

丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった−。肺の悪性腫瘍を告知された39歳の秋、俊介は 二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。 「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカイオペアの丘で、再会と贖罪の物語が、静かに始まる。

北海道のかつて炭坑が栄えた町のイメージは、わたしには「夕張」しか思いつきません。



『非正規レジスタンス』池袋ウエストゲートパーク[(文春文庫 石田衣良)

いつものケヤキが登場したことが印象的だった。



『母−オモニ−』(集英社 カンサンジュン)

熊本で生涯を送った母(オモニ)が、故郷の鎮海(チネ)に里帰りしたのは30年ぶりだった。 釜山の西、日露戦争のとき、帝国海軍がロシア艦隊を待ち伏せした港が鎮海(チネ)だったはずである。 16歳の時、結婚のため父の許に辿り着いた年に「大東亜戦争」が始まり、 戦後は朝鮮と韓国に分かれた経緯の中で、故郷はかなり遠かったようである。

金海(キメ)国際空港からタクシーを飛ばして帰ったのが2度目だった。



『だから、僕は学校へ行く!』(乙武洋匡 講談社文庫)

杉並区独自の小学校教師養成塾である「杉並師範館」の第一期生とともに、杉並区の独自採用という 形で職員となることができた。ただし、3年間という限定があり、その教員生活はあっという間に終わった。



『恐れるな!』(イビチャ・オシム 角川oneテーマ21)

南アフリカW杯ベスト16で満足していいのか?
勇気が欠けたことを省みよ!
日本はオランダにもパラグアイにも勝てた!
大久保と松井はもっと危険であれ!
ザッケローニ監督の不安点
本田をフォローするもう一人のFWを探せ!
2014年のリーダーは中村俊輔だ!

2010年10月10日初版だから、最も新しいオシム節である。21日に購入して、22日に読み終えた。
難波まで買いに行った甲斐があったはずである。ザックJapanは、まだ始まっているとは言えない。



『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』(文藝春秋 村上春樹)

インタビュー記事をまとめたものだから、いくらでも枚数を稼げるものですね。その膨大さに、いつ読み終えることができるのか、 私にも分かりません。



『熊嵐』(新潮文庫 吉村昭)

熊出没の事件がいつになく多い年のようです。ドングリなど山の恵みがなくなったので、仕方なく里に下りてきたものとされています。

この事件は、日本獣害史上最大の惨事をもたらしたもので、2日間で6人の男女を殺害したものです。 この恐怖の物語は、今からさほど遠くもない大正時代に実際に起こった出来事です。熊の聖域に人が入り込んだが故に起きたのですね。



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