読書ノート 2005


環境再生と日本経済

煙か土か食い物

桜が創った「日本」

イチロー、聖地へ

三浦按針の生涯

まんが パレスチナ問題

θは遊んでくれたね

先生はえらい

星宿海への道

流転の海

陽気なイエスタデイ

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

電子の星

血と骨

二十歳の火影


『環境再生と日本経済』(三橋規宏 岩波新書)

「99対1の原則」というのがある。 いま100人の世界があったとする。 この世界を変える必要がでてきたとする。 そのためには、100人のうちの誰か1人がまず変わってみせることが必要だ。 それは他人ではなく、自分でなくてはならない。 まず自分が率先して変わる勇気を持たなければならない。 これが「99対1の原則」である。

時代の方向を正しく見据えることができれば、やがて自分の仲間が少しずつ増えてくる。 ひとりの賛同者が加われば、98対2の世界ができる。 やがて賛同者が5人に増えれば、95対5の世界に変わる。 5人が積極的に動き出すと、かすかに将来の展望が開けてくる。 そして90対10の世界になると、確実に世の中を変えることができるようになる。

100人が住む世界で100人すべてが変わらなければその世界を変えることができないと考えると、永遠に組織は変わらず、時代の変化に取り残されてしまうだろう。

100人のうち10人が変われば、時代を変えることができる。 10人の最初の1人が自分であるためには少し勇気がいる。 しかし、多くの日本人が身近な現場で少しずつ勇気を出すことで、日本は見違えるほど活気ある国になるだろう。

「コロンブスの卵」というよく似た話がありますが、なんでも初めが肝心なんですね。 でも、賛同者でも力になります。 凡人はたいてい後を追うことしかできないですが‥。

読みづらいので適当に区切ってみました。 なぜか、かつてメールで届いた「世界がもし100人の村だったら」のことを思い出しました。 数字はある意味での説得力を持ちますね。

「京都議定書」発効の前に読んでみましたが、温暖化防止のための取り組みの数々を知りました。 やればできるということを見せつけられました。

あとは、両目で、しっかりと『永遠の仔』を読むことができます。。(^_^;
まもなく読み終えますが、UPはしないでしょう。




『煙か土か食い物』(舞城王太郎)

俺はマリックの手の包帯のことをもう一度訊く。「猫に引っ掻かれたんだ」とマリックは言う。「そうか」と俺。猫ね。 「お母さんはどうや」と俺は訊く。「おめえちゃんと付いててあげとるんかい」 マリックは首を振る。「仕事が忙しくて駄目だ」 「そうか」と俺。仕事ね。

俺はその子と廊下で立ち話を始める。仕事。「えー、医者なんですか。見えませんねー」「そう?」住所。 「サンディエゴってアメリカですよねー。ここで何しているんですかー?」「見舞い」。今後の予定。 「日本に帰ってこないんですかー?」「帰んない」今日これからの予定。「明日オフだから暇なんですよー」 「ふうん」「‥‥‥‥」「俺も眠いよ」「昨日のベッド、ひょっとして使い心地悪かったですか?」 「そんなことない。助かった」「良かった」「寝て起きたら暇?」「えっ。あ、はい」「一緒に遊ぶ」 「えっ、いいですよ」「名前教えて」「はい、阿帝奈です。旗木田阿帝奈」。俺はこの子の名前が気に入る。 「いい名前や」「ちょっと勇ましくありません?」「アシーニは戦争だけじゃなくて知恵の神様でもあるんやで」 「へー、知りませんでした。でも私、あんまり知恵ないなー」 「無知の知、BYソクラテス。でも本当に知恵のない人間は看護婦になれないよ」

何とも言えぬ表現というか、句点の打ち方が独特というか‥参ってしまいますね。。 『煙か土か食い物』は噂の舞城王太郎氏の作品で2001年に第19回メフィスト賞を受賞したものです。 ちなみに、どうせ人間は死んでしまえば煙か土か食い物になってしまう‥なんてところからタイトルが付いたようです。

このあと、わがPCが壊れたようで打ち直そうかどうか思案しましたが やはり、捨てがたくて再度挑戦してみました。職場から持って帰ったPC(XP)はまことに偉大なわけで GAIAXへのログインも簡単にできました。しばらくおとなしくしてみようかと思いましたが、あはは‥復活です。



『桜が創った「日本」』(佐藤俊樹)

 「桜」という言葉は「サ」と「クラ」があわさったものだという。「サ」は穀物(稲)の精霊、「サツキ」や「サオトメ」の「サ」。「クラ」は神が座す場所、「イワクラ」の「クラ」。雪が消えて冬が終わり、穀物の精霊が最初に舞い降りてくる場所。それが「サクラ」だ。
 語源論としては少しできすぎていて、かえってあやしげだが、裸木が一斉に花をまとう姿は、まさに春の精が舞い降りてくるようだ。一面の花、一面の春。遠近感を失うほどの圧倒的な量感はたしかに神々しく、おそろしい。

 まえがきの部分に感じるものがあって購入しましたが、まだ読んではいません。サクラの開花までには読むつもりです。

 今朝のことですが、いつもの通勤コースをちょっと変えたおかげで、今どき満開のサクラに出会いました。保育園(幼稚園かも知れない)の庭から咲きこぼれていました。もちろん、いつものソメイヨシノとは違いますが、その名はわかりません。デジカメを持ち歩くような粋な計らいには程遠いもので、たぶん1本だけの小さな春にこっそり出会った感じです。

 あと2週間ほどでしょうか?とても待ち遠しいですね。。近くの公園、京都のサクラ、旅先でのサクラ‥今年はどんなサクラに出会うことができるのだろうか?それがとても楽しみです。

 なんとか読み終えたのが3月28日。つまりは、クローンであるソメイヨシノだけではなくて(挿木や接木で増えたという意味です)、いろいろな桜を楽しんでみてはいかが?というような論調でした。



『イチロー、聖地へ』(石田雄太)

「こういう言い方はあまりよくないかもしれなませんけど、正直、余力を残して日本から来てよかった、というのはありますね。これはどのレベルに上がる時もそうだと思うんですけど、中学から高校へ上がる時も目一杯の自分でギリギリ高校へ入れるという状態だったら、行き詰ってしまうと思うんです。まだ余力があるから上の世界へ行く。だからそこでもできる。さらにその上の世界に行く時、高校野球で目一杯だった自分がいたとしたら、果たしてプロでできるだろうか、という不安が湧いてきますよ。でも、今までいた世界である程度、手を抜いてきた、それでも人よりもできた‥‥まぁ、余りいいことではないかもしれないけど、余力を残してでもやろうとする気力を持ってやってきた。その結果の余力であれば、それは十分に(上の世界への)可能性が広がると思うんです。」

−石田雄太『イチロー、聖地へ』より−

「メジャーでのシーズンを終えて、まず感じることはどんなことですか?」という問いに答えたものです。

この考えがすべてにあてはまるとは思いませんが、ピンと感じるものがあり、多くの場面で同じ考えを持つことが多いようです。ただし、繰り返しますが、この考えがすべてにあてはまるわけではないと思います。イチローだから言えたことでしょうね。



『三浦按針の生涯』(白石一郎)

白石一郎『航海者−三浦按針の生涯』を読み始める。まずはメモ。

マゼラン艦隊
 出発:1519年8月
 帰国:1522年9月
 マゼラン海峡発見の日:1520年10月21日
 マゼラン海峡通過の日:1520年11月28日
 5隻280人で出発
 帰国できたものはビクトリア号1隻のみ、乗組員18人
 逃亡した者あり?

ドレーク艦隊
 出発:1577年
 帰国:1580年
 マゼラン海峡通過:1577年、16日間
 5隻で出発
 3年後に帰国
 帰国できたものはドレークの乗った一隻のみ

オランダ東洋探検隊
 出発:1598年6月24日
 5隻491名で出発
 マゼラン海峡到達:1599年4月
 エリザベス島(フェゴ諸島の西側の島)の入江で越冬5ヶ月
 出航:1599年8月24日
 マゼラン海峡通過:1599年9月1日

ウイリアム・アダムス(三浦按針)は平戸で病死したんだ‥。
この前に行ったばかりなんだけれど
もっと見ておけばよかったような気がしますね。。



『まんが パレスチナ問題』(山井教雄)

山井教雄著『まんが パレスチナ問題』を読み終える。
あはは‥マンガは描けないので、まとめることは省略です。

アラファト議長が亡くなったこと
ヨルダン川西岸にシャロン首相がつくった壁
入り組んだイスラエル人の入植地

難問は増えるばかりですが‥

何千年もの間
ユダヤ人とイスラム教徒が共存してきたという歴史があり
民族の和解に向けた取り組みに役立って欲しいと思います。



『θは遊んでくれたね』(森博嗣)


森博嗣氏の作品をどんな人が読んでいるのだろうかと気にはなりますが、とてもマニアックな部類に入るかもしれません。

とても学問的な匂いなどがして、理系的ではあるけれど、その実、恋愛小説であるような、そういう雰囲気が好きなんです。
あはは‥難しいところはとばします。

Gシリーズ2作目ですが、噂の犀川&萌絵さんが登場してきて、賑やかになりました。

その横の海月(くらげくんのことです)は黙々とカレーを食べている。食べ方が速いわけではないが、規則正しい作業といった雰囲気で、まるでスコップで土木工事をしているようだった。

わたしも土木工事的に食べてみたいと思いました。



『先生はえらい』(内田樹)

内田樹「先生はえらい」(ちくまプリマー新書)というのを読みました。
難しいものではなくて、するするっと読めちゃうのですが
わかったようでわからないようで
それこそ、内田氏が望んでいたことのように思えて
だまされたような気分でした。
たしかに、内田氏(大学の先生)がえらいのはよーくわかりました。
賢い女性だな、とずっと思っていました。

引き続き「14歳の子を持つ親たちへ」(内田樹・名越康文 新潮新書)
を読んだときに内田氏が男性だということに気がつきました。
対談ものだったのですが
わかったようでわからないようで
頭の回転がいい人だな、と思いました。



『星宿海への道』(宮本輝)

何というか‥
違うんですね。

近ごろは
ミステリーものを読んだり
ノンフィクションを読んだりすることが
多いのですが

宮本輝氏の作品を読むと
その書き出しから
すっかり違うんですね。

なんだかんだと言いながら
やはり
好きなんだなぁ‥と思います。
これだよなぁ‥と感じます。
なぜか、安心できるんです。

そう言いつつ
読み始めたばかりなのに
柳田邦夫氏の「死角 巨大事故の現場」を
再読したいとも思います。
日航ジャンボ墜落事故の死角の記事は
今日しか読めないような気がしますから。

回り道が好きなわけで
大事なものを残しておきたいわけで
いつもの並行読みというわけです。

今日は人間ドックに行ってきました。
バリウムね、今年はレモンでしたが‥
好きになれませんね。



『流転の海』(宮本輝)

宮本輝作。

『地の星』(『流転の星』第二部)もまもなく終わりそうです。
彼は成熟した男性をしっかり書ける人だと思います。
主人公の松坂熊吾は相当にやんちゃではありますが‥。

現在は南宇和にまだ留まっています。
『星宿海への道』も愛媛県の大島が出てきます。
そんなことが気になっています。

追記

結局、第四部まで読み終えました。
この夏以来、電車通勤を楽しんでいるわけで
おかげで読破する時間が早いようです。

本のことですが
このままで終わるはずはなく
多くの読者と同様
続編の出るのを心待ちにしています。



『陽気なイエスタデイ』(阿刀田高)

阿刀田高のエッセイ集を
ようやく読み終えた。

あははは、親分大笑い

という表現が何度も出てきて
ずいぶん気になったのだが
やっと出所が明らかになった。

『銭形平次捕物控』の八五郎の口ぐせのようである。
あははは‥とにかく気に入ったわけだが
早々何度も使えるものではないだろうが
もう少し阿刀田高さんの作品を読んでみたい
と思ったのは本当のことである。



『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』

以前には
さおだけ〜
の声を聞いたことはあったが
最近は聞いたことがないみたい。

さおだけ屋さんから                                          
買ったことがない。
買った人を聞いたことがない。

なのに‥

お気の毒にもなるのだ。
なぜ潰れないのだろうか、と疑問に思う。

そんな疑問に答えるところから始まる
好奇心をそそる
会計学の入門書のようです。

あはは‥
とりあえず読み終えました。
なるほど、と感心させられます。
しかし
読み終えることができたのは
実は、電車通勤のおかげです。

そろそろ
焼き芋の季節ですね。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  

追記:
答えは本屋さんでの立ち読みで、と思ったのですが
まぁ、まとめてみましょう‥。

@ さおだけ屋は、単価を上げて売り上げを増やしていた。

もしも、たまに買いたいと思う人があったなら
2本で1000円のさおだけではなくて
1本で5000円の高級さおだけを売りつけ
おまけに10万円もする物干し台の工事まで請け負って
儲けるという
言わば悪徳商法まがいで利益を上げるとか。

A さおだけ屋は、仕入れの費用がほとんどゼロの副業だった。

本業は別にあって、ちゃんと儲けているわけで
さおだけは売れようと売れまいと元々当てにしていないもので
スピーカーで「さおだけ〜」と流しながら
猛スピードで、主張先からお店に戻ろうとしているに過ぎない
という、なさそうでありそうな話です。
「さおだけ屋」という専門の商売は元々なかったというわけです。

さほど、おもしろい話ではないのですが
ふと、好奇心を誘うことに成功していると思います。
おかげで、この本を買ってしまう何十万人もの
マヌケな読者(わたしのような‥)がいるわけですから。

ちなみに、他にもおもしろそうな話がありますよ。



『電子の星』(石田衣良)

石田衣良作。

「電子の星」池袋ウエストゲートパークW

またも「けやき」が登場して困っています。
街路樹としてよく植えられるそうなんだけれど
見たことがあるのかどうなのか
わからないまま
あはは‥衣良さんの作品だな〜
なんて感じながら
あっという間に読み切ってしまいました。

連作ものはなんだかほっとしながら読むことができます。
これは寝る前に読むもの。

電車通勤で読むものは短編ものとかエッセイなどが多いようです。
あはは‥この夏以来、乗り越したのはまだ2度だけです。
今は、阿刀田高氏の「鈍色の歳時記」。

3冊を代わる代わる読むこともある気ままな読書の日々。
秋ですから‥。



『血と骨』(梁石日)

梁石日作。

圧倒的な暴力が吹き荒れる。

血は母から

骨は父から

この土日で

一気に読み終えました。



『二十歳の火影』(宮本輝)

『はたちのほかげ』(宮本輝)より

「春にならん冬は、これまでいっぺんもなかったんや。ここでへこたれたりせえへんでェ」

それが母の口癖だった。



戻る