読書ノート 2004
昨年の夏以来、一年ぶりにまとめてみようと考えた。
全く暇だからというわけではなくて、本来の形に戻って、言葉の響きが気に入ったものを残してみたいと思ったのだ。
読みたいものが見つかるかどうかだが、無理はしないでおこうと思う。
宮本輝『血の騒ぎを聴け』「能く忍ぶ」より <能忍>という言葉が仏典の中にあって、それは仏の数ある別号の中のひとつなのだと、ある人から教わった。
耐えなければならぬことが人生にはいくつもあるのを、人は幼くして知るはずだが、それがどうしても出来ないまま失敗を繰り返してしまう。
「ハンガリー紀行」より 私たちがジャンケンをしていると、近くの席にいたドイツ人たちが、珍しそうに見ている。ドイツには、ジャンケンはないのかなと思いながら、
私は彼らに日本のジャンケンのやり方を教えた。
いつもの宮本輝節である。悪意はない。
重松清『口笛吹いて』所収の「タンタン」「かたつむり疾走」が好きである。まことに、まことに、微妙なんだけれど‥ 「体さえ健康だったら、人生どうにでもなるんだから」
親父がリストラされてからオフクロが明るくなった、に続くオフクロの言葉なんだけれど
鷲田康『ホームラン術』
松井秀喜の場合 日本通算:332本('93〜2002) 米国通算:34本(2003〜2004.7.20現在)←誰でも、始まりはこんなものだった。 バリー・ボンズはとんでもなく凄いやつ。あと2年で大記録を打ち立てるだろう。
宮本輝『海岸列車』山陰の鎧駅を検索してみました。すぐそばを車で通ったことがあります。
一行だけのコメント集
ミステリー・ブーム宮部みゆき『パーフェクトブルー』 柴田よしき『フォー・ディア・ライフ』
乃南アサ『鍵』
中嶋博行『検察捜査』
桐野夏生『天使に見捨てられた夜』 渡辺容子『左手に告げるなかれ』
『四十回のまばたき』すごいね、あんたは。
できるなら、ぼくは、ポストのような存在でありたい。
ポリティカにっぽん「コイズミという時代」がひとつはブームとバッシングで揺れる世論、もう一つ「改革」と「戦争」のアンサンブルという2点で特徴づけられるとすれば、今年出たもう一つの「昭和史」(平凡社)の著者半藤一利さんの話にも耳を傾けなければならない。彼は「日本人はなぜ戦争をするのか」という答えを歴史に求めてこう言っている。 「第一に国民的熱狂をつくってはいけない。その国民的熱狂に流されてはいけない。ひとことでいえば時の勢いに駆り立てられてはいけない」 「二番目は、日本人は抽象的な観念論を好み、具体的理性的な方法論を検討しようとしない」……。 戦前、日本の新聞がにわかに「戦争」に加担していったのは、31(昭和6)年の満州事変がきっかけだった。これが日本軍の陰謀であることはうすうす感じていたのに、わが生命線「満蒙」の権益が侵犯され、忍べるだけ忍んできた日本の我慢も限度があると「戦争」の熱狂を盛り上げた。各新聞はそれぞれ多数の特派員を派遣して部数の拡大を競ったのだった。 くどいようだけれど、そんな戦前の愚を二度と繰り返してはいけない、どうもへたをすると繰り返しそうだ、それが「ポリティカにっぽん」で心配してきたことである。 くどいついでに今年出たもう一つの本に触れたい。「りぼん・ぷろじぇくと」という仲間たちがつくった絵本「戦争のつくりかた」(マガジンハウス)である。かいつまんでいうと。 わたしたちの国は60年ちかく前、「戦争しない」と決めました。しかしわたしたちの国を守るだけだった自衛隊が武器をもってよその国にでかけるようになる。攻められそうだったら、先にこっちから攻めるというようになる。 戦争のことはほんの何人かの政府の人たちで決めていいというきまりをつくる。テレビや新聞は政府が発表した通りのことを言うようになる。学校では、いい国民はなにをしなければならないかを教わります。だれかのことをいい国民ではない人かもと思ったら、おまわりさんに知らせます。おまわりさんは、いい国民でないかもしれない人をつかまえます……。 最近、反戦ビラを配った人が捕まったりするのを見ていると、どうも本の通りに進んでいるなと思わざるをえない。で、本は結び近くにこう書いている。 人のいのちが世の中で一番たいせつだと、今まで教わってきたのは間違いになりました。一番たいせつなのは、「国」になったのです。 そんなことにならないように祈ってペンを置きたい。 早野透氏のコラム 『ポリティカにっぽん』 から抜粋してみた。タイトルは「改革の灯 戦争の影」である。これをもって、9年も続けたこのコラムが終わることを知った。真面目な読者ではなかったが、年の初めの指針を考える際には、いつもここから始めてきたわけだから、消えるのはまことに寂しい限りである。
これからは自分の頭で考えていくしかない。この「国」のためにではなくて、自分たちのためにである。大切なのは、わたしと家族とわたしとつながる仲間たちのためである。この「国」に何もかも任せてしまわず、自分たちでやっていく力と希望があると信じている。あはは‥いつまでたっても未熟者ですが、とりあえず、やってみるしかないですね。
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