読書ノート 2020

 
あきない世傳 金と銀シリーズ(高田郁、ハルキ文庫)
 「七 碧流篇」
 「八 瀑布篇」
 「九 源泉篇」

 

 「僕と妻の1778話」 (眉村卓、集英社文庫)
 「宇喜多の捨て嫁」 (木下昌輝、文春文庫)
 「明智光秀」 (早乙女貢、文春文庫)
 「草花たちの静かな誓い」(宮本輝、集英社文庫)
 「熱源」(抄)(川越宗一、『オール讀物』直木賞発表号、文芸春秋)
 「熱源」(川越宗一、文芸春秋)
 「密やかな結晶」(小川洋子、講談社文庫)
 「ことり」(小川洋子、朝日文庫)
 「博士の愛した数式」(小川洋子、新潮文庫)
 「境遇」 (湊かなえ、双葉文庫)
 「望郷」 (湊かなえ、文春文庫)
 「恋歌」(朝井まかて、講談社文庫)
 「福袋」(朝井まかて、講談社文庫)
 「父からの手紙」(小杉健治、光文社文庫)


風烈廻り与力 青柳剣一郎シリーズ(小杉健治、祥伝社文庫)
 「悲恋歌 50」

心の中にこそ、鬼は巣食う。 剣一郎が密室の謎に挑む! 「鬼に喰われた」祝言の夜、花嫁が密室から忽然と姿を消した事件を、人々はそう噂した。部屋には、曰くある鬼の画が掛けられていたのだ。流言を危惧し、探索に乗り出した南町奉行所与力・青柳剣一郎だったが、密室の謎が立ち塞がる。そんな折、花嫁消失に加担したと思しき女の、喉を裂かれた亡骸が見つかり……。風烈廻り与力・青柳剣一郎シリーズ、威風堂々の第五十巻。

 「札差殺し1」

?に走る刀傷が疼くとき…… 貧しい旗本の子女を食い物にする江戸の闇を斬る! 南町の青柳剣一郎が尾けていた男が、二人の刺客に襲われた。駆けつけると、いきなり五尺はあろうかという長剣が剣一郎の袂を裂いた。さらに一刀流の剛剣が唸りを発して迫る……。折しも旗本の子女が立て続けに自死する事件が続くなか、富商が斬殺された。その目撃者をなぜ二人の刺客は狙うのか? 風烈廻り与刀・剣一郎の剣が冴える!

 「火盗殺し2」

八百八町を狙う"火付盗賊" いつ、どこで、誰が、何を目的に? 大風の夜、風烈廻り与力・青柳剣一郎は火付け道具を隠し持った男を捕らえた。幾多の拷問の責めを受けても沈黙を続ける男。何が男をそこまで耐えさせるのか。やがて、男が牢で発した奇妙な言葉。その謎が解けた直後、江戸の町が業火に包まれる! 残忍な火付け強盗を利用しようとするさらなる悪党、そして利用される薄幸の人々のため、剣一郎の怒りの剣が吼える!

 「八丁堀殺し3」

与力を襲う疾風一閃! 凶刃に斃された同僚、家族の悲嘆に剣一郎起つ! 闇に悲鳴が轟いた。青柳剣一郎が駆けつけると、別れたばかりの同僚が斬殺されていた。これが、八丁堀を震撼させる与力殺しの幕開けだった。さらに二人、三人と与力ばかりを一刀のもとに斬り伏せる居合の達人とは何者か? 風烈廻りから急遽探索の長に抜擢された剣一郎だが、息子の剣之助までが囚われ、絶体絶命の窮地に!

 「刺客殺し4」

斬るか斬られるか、絶命剣! 藩から受けた非情な密命とは…… 青柳剣一郎と剣道場で同門だった浦里左源太は、陸奥の藩に仕え幸せな家庭を築いているはずだった。ところが左源太の零落した姿が江戸で散見され、やがて首をざっくりと斬られた武士の死体が見つかる。それは絶命剣という恐るべき技で、左源太がまさに体得しようとしていたものだ。何故家族を捨て、刺客となって帰府したのか?

 「七福神殺し5」

“悪”はどっちだ!? 庶民に人気の義賊を追いつめる青痣与力は…… 悪名高い豪商だけを狙い、誰も傷つけぬ。盗むのは五百両以内。七福神の面を着けた七人の盗賊は義賊として庶民に歓迎された。青柳剣一郎は、御奉行から七福神捕縛の厳命を受ける。そんな折、辻斬りに殺された男が一味の一人と判明。さらに七福神が次々と消されていく。誰が何の目的で――?

 「夜烏殺し6」

迫る刻限――剣一郎、絶体絶命 冷酷無比の大盗賊は、いつ、どこを襲うのか…… 「狙うは一千両以上、押し込み先は皆殺し」そんな大盗賊“夜烏の十兵衛”が江戸に舞い戻ってきた。5年前、青柳剣一郎によって組織を壊滅させられたその復讐のため、あえて犯行予告するという大胆さだった。見せしめとして惨殺される盗賊仲間、若手与力の不可解な行動……一体江戸八百八町のどこが狙われのか? 刻々と刻限が迫るなか、剣一郎の焦りが募る!

 「女形殺し7」

斬首刑は執行された。 だが、濡れ衣だったら… 娘の悲痛な叫びに、剣一郎が立ち上がる。 木綿問屋『田丸屋』の友右衛門が市中引廻し、斬首のうえ晒し首にされた。「おとっつあんは無実なんです」娘・お弓の悲痛な叫びに、親子と親しい青柳剣一郎の胸は痛んだ。一度下された裁きは撤回されない。だが、もし冤罪だとしたら? 奉行所で孤立しながらも再捜査する剣一郎。一方、お弓の兄も人殺しの濡れ衣を着せられる。兄の斬首執行が刻々と迫るなか、真相究明に剣一郎が奔走する!

 「目付殺し8」

隠居した元同心が事件の鍵を握っていた! 腕のたつ目付を屠った凄腕の殺し屋を追う 剣一郎配下の同心とその父の執念! 匕首で心の臓を一突きする殺しが頻発していた。青柳剣一郎配下の同心只野平四郎は、五人目の殺害現場に遭遇し男と対峙。腰の据わりや俊敏な動きから、相当な遣い手と看破する。さらに被害者が御小人目付、御徒目付と、旗本を監察する役人にまで及び、剣一郎は背後にただならぬ陰謀の存在をかぎ取るが……。

 「闇太夫 9」

危うし、八百八町 風烈廻り与力と隠密同心が江戸を疾る! 深川の中堅材木商が木材を大量に買い占めていた。不審に思った青柳剣一郎が主に訊くと、百年前の明暦大火に匹敵する災厄が起こるという。単なる噂ではない、誰かが途轍もないことを目論んでいると剣一郎は睨む。一方、駿河で残虐な強盗を働いていた“闇太夫”一味が江戸へ潜入したという報せが。南北両奉行が狼狽えるなか、剣一郎の肩にすべてが掛かった!

 「待伏せ 10」

死の淵から甦った刺客 冤罪を晴らそうとする剣一郎、絶体絶命 囲われ者の女が殺され、間夫の政吉が捕らえられた。ところが牢内で何者かに襲われ、虫の息だという。無実を叫ぶ政吉、そして青柳剣一郎が動き始めるや、凄腕の刺客が襲ってきた。敵は、奉行所の内と外にいるのか? 江戸中を恐怖に陥れた殺し屋で、かつて剣一郎が取り逃がした男との因縁の対決!

 「まやかし 11」

赤穂から来た男 非道の盗賊団に利用された侍が剣一郎と結んだ約束とは? どんな大店にも難なく侵入できる最良の方法。それに思い至った押込み一味の伊太郎はほくそ笑んだ。やがて大胆不敵な押込みが市中に跋扈し、町奉行所、火盗改めが探索に窮するなか、ついに風烈廻り与力の青柳剣一郎にも探索命令が。そんな折、剣一郎は偶然知り合った老人左兵衛の孫娘に奇妙な言葉を掛けられる。そこに事件を解く重大な手がかりが隠されていた!

 「子隠し舟 12」

江戸で頻発する子どもの拐かし。 探索を続ける剣一郎にも魔手が……。 師走の江戸で、身寄りのない子どもが次々と拐かしにあっていた。青柳剣一郎は現場付近にいた若い飴売りに目をつける。だが、不審な乞食に惑わされ剣一郎は男を見失う。奉行所は総力を挙げて拐かし犯捕縛を目指すが、新たな殺しが発生。相方を殺された“三河万歳”の太夫が、相次ぐ事件を解く鍵となるのか?

 「追われ者 13」

剣一郎 対 修羅をゆく男 ただ“生き延びる”ため、非道な所業を繰り返す男とは? 追いつめる剣一郎と、執念と執念がぶつかり合う! 如月、梅も盛りの江戸で名残の雪が降った夜、嫌われ者の金貸し一家が惨殺された。町方は、妾宅で妾とともに死んでいた主の金兵衛の無理心中と断定。しかし前日、金兵衛に会った青柳剣一郎は違和感を覚える。やがて浮かび上がったのは、富三郎なる不可解な男。富三郎は残忍な盗賊一味にも狙われていた……。逃げ回る富三郎の正体、そして息詰まる追跡行の結末とは?

 「詫び状 14」

酒田湊からの一通の文―― 北国で事件に巻き込まれる息子剣之助。そして、江戸では父が…… 屋根上に潜む黒い影。見回りの途中、青柳剣一郎は押し込みの一味を発見するが、邪魔が入り取り逃がす。その追尾中に剣一郎は、御家人飯尾吉太郎に出くわした。押し込みに飯尾の関与を疑う剣一郎だが……。そんな中、駆け落ちし出羽の国酒田に逃れていた倅の剣之助から文が届く。そこには、押し込み一味の驚くべき事実が!? ますます見逃せない新展開!

 「向島心中 15」

愛を貫いた男女、背後で蠢く巨悪とは? 剣一郎、剣之助父子が大藩の陰謀に挑む! 「ふたりで暮らすにはあの世しかない……」想いを遂げるため情死を選んだ吉原の遊女と沢次郎。沢次郎の正体は、庄内藩酒井家の勤番者・大出俊太郎だった。その亡骸の検視をした青柳剣一郎は、酒井家家中の者たちの言動に不審を抱く。剣一郎の命を受け、伜・剣之助は鶴岡へ赴き、藩内の確執を探り出すが……。哀しい男女の末路に秘められた、驚くべき陰謀とは?

 「袈裟斬り 16」

英雄に祭り上げられた旗本の正体とは? 信じるは己の第六感のみ! 剣一郎、執念の探索行の結末は―― ?燭を手に二階家に立て籠もった男。周囲の住人は火事を恐れて騒然となった。しかし平井大二郎と名乗る旗本が、隙を衝いて男を袈裟懸けに斬り捨て、騒ぎは落着する。平井は一躍英雄と称えられるが、一部始終を目撃した青柳剣一郎は、平井の挙動に言いしれぬ不気味さを覚えていた。探索の末、炙り出された騒ぎの真相と平井の過去。剣一郎は罪なき人々を救えるか!?

 「仇返し 17」

付け火の真相を追う父・剣一郎 二年ぶりに江戸に帰還する倅・剣之助 青柳父子に迫る罠! 「七兵衛……」小間物屋『岩城屋』に付け火をし、青柳剣一郎に捕らえられた男・伝蔵が呟いた名。店を辞めさせられたことへの逆恨みの所業だとして伝蔵は死罪となるが、剣一郎は正体の分からない「七兵衛」と『岩城屋』に秘密があるのではないかと疑念を抱く。やがて、伝蔵に関わる人間も相次いで殺され、剣一郎にも刺客の手が……!

 「春嵐1 18」

南町奉行を揺るがすかつてない危機 剣一郎の前に現れた巨悪の正体とは? 正月二十日。烈風吹き荒ぶ夜、青柳剣一郎は怯えた様子で駕籠に乗る若い女を見かけた。直後、別の女の死体が発見され、剣一郎は駕籠の女が事件に関わったと見て探索を始める。その背後には、老中・松平出雲守と通じる大身旗本・漆原主水正の影があった。かねて剣一郎を恨む漆原が放つ不気味な刺客、さらに事件は福井藩の陰謀をも孕み、かつてない嵐を巻き起こす!

 「春嵐2 19」

与力の矜持と正義を賭けて 剣一郎が放つ起死回生の一手! 青柳剣一郎は、漆原主水正が福井藩御用達の廻船問屋『三国屋』と、女を集めて怪しげな宴を催していた事実を暴く。やがて、福井藩出入りの紙問屋『越前屋』でも殺しが発生。探索の末、すべては福井藩の十万両の借入金に端を発することを突き止めるが、敵は漆原と共謀し、権力を盾に南町奉行をも陥れんとしていた……。巨悪に立ち向かう、剣一郎の裁きやいかに! 上下巻、圧巻のクライマックス。

 「夏炎 20」

自棄になった科人を改心させた 謎の“羅宇屋”の正体とは? うだるような残暑の中、俄に起こった大火。自分を裏切り大店へ嫁いだおちかを殺そうとして捕らわれていた峰吉は、一時的に解き放たれる。おちかへの未練に苦しみつつも、羅宇屋の老人・徳三に諭され、生きる望みを取り戻した矢先、次々と罠が……。さらに、行動を共にしていた吉松も謎の死を遂げる。弱き者を陥れる、真の悪の正体とは? 青柳剣一郎、執念の探索行!

 「秋雷 21」

南町奉行所 対 火付盗賊改め 針一本で屈強な男が次々と…… 威信を賭け、剣一郎が稲妻の如き殺し人を追う! 秋雨の降りしきる江戸で、不可解な殺しが頻発する。殺されたのは屈強な男ばかり。いずれも針で“盆の窪”を突かれていた。探索の末、ホトケは盗賊“霞の陣五郎”一味だと判明。盗賊同士の仲間割れなのか、それとも……。火付盗賊改めも捕縛に乗り出す中、奉行所の威信を賭け、青柳剣一郎に密命が下された! 見えざる下手人の正体とは? 剣一郎の眼力が冴える!

 「冬波 22」

下手人は何を守ろうとしたのか? 主殺し事件の裏に隠されていたのは―― 真実に近づくことの苦しみを知った息子に 父・剣一郎は何を告げるのか? 霙舞い落ちる冬の夜更け。金貸しの使用人・多助が主の善兵衛を殺し、人質を楯に立て籠もった挙げ句、自殺した。騒ぎは落着したと思われたが、見習い与力として出役した青柳剣之助は疑念を覚える。使命感を燃やし、密かな探索の末に辿り着いたのは、非情なる真実だった……。戸惑い迷う倅を見つめる剣一郎が、父として、“青痣与力”として、取った意外な行動とは?

 「朱刃 23」

江戸を騒がす赤き凶賊 狙われた商家に共通する点とは? わずかな手掛かりを追う青柳父子の前にさらなる敵が! 日本橋の鼻緒問屋が“朱雀太郎”を名乗る押込みに襲われた。奉行所と火盗改めが競って捕縛に乗り出すも、殺しや火付けをも厭わぬ凶行が繰り返される。青柳剣一郎は、狙われた商家が江戸の東に偏ることと、南を表すはずの“朱雀”の異名に違和感を覚え、手掛かりを追う。しかし、一味の秘密に迫る青柳父子の前に、思いがけない強敵が! 瞠目必至のシリーズ新展開。

 「白牙 24」

蝋燭問屋殺しの背後で蠢く白い影─── 謎の男を炙り出すため、剣一郎が危険な賭けに挑む! 凍てつく冬、?燭問屋殺しで、腹違いの弟・忠助が捕らわれる。番頭らの話から日頃の冷遇を恨んでの凶行と思われた。だが事件の夜、外で忠助を見たという大工は証言を翻した挙げ句、不審死を遂げる。忠助の無実を確信し、黒幕を炙り出すべく大胆な罠を張る青柳剣一郎。驚くべき奸計が顕わになる時、敵は牙をむいた! 青柳父子は真に守るべき者を守りきれるのか!?

 「黒猿 25」

温情裁きのつもりが一転…… 倅・剣之助が解き放った男に付け火の容疑が。 与力の誇りをかけて、父・剣一郎が真実に迫る! 神田岩本町一帯が燃えた。火元は古着屋の増田屋。店の金を盗んだ容疑で捕らえられた下男・伝助が解き放たれた夜の出来事だった。火盗改めが火付け犯として伝助捕縛に向かうなか、当日その姿を見かけた青柳剣一郎は伝助が犯人ではないと確信する。ところが、伝助はその日から姿を消していたのだった……紅蓮の炎に隠された陰謀を、剣一郎が快刀乱麻に暴き出す!

 「青不動 26」

夫の無念を晴らしてください―― 札差の妻の切なる想いに応え、探索に乗り出す剣一郎。 しかし、それを阻むように息つく暇もなく刺客が現れる! 「夫は自ら死んだのではない」自殺とされた札差の妻おとよは確信していたが、証拠がない。話を聞いた青柳剣一郎は調べを進め、死の直前に御家人と不審な大金の取引があったことを?む。すると、探索を阻むかのように、次々と刺客が姿を現した。この執拗さは一体……戸惑いながらも、真実に迫る剣一郎。だが、敵は予想外の奇策に打って出る。

 「花さがし 27」

藤に秘められた切なる想い 少女を庇い、記憶を失った男に迫る怪しき影。 男はなぜ、薄紫の花を見つめていたのか!? 藤が優雅に咲き誇る妻恋坂で、ふいに大八車から樽が落下。幼い娘と女中に迫るその樽を、一人の男が体を張って止めた。だが、その事故で男は記憶を喪失。偶然居合わせた青柳剣一郎は、男が藤を熱心に見ていた様子を手掛かりに、身許捜しに努める。やがて、男に怪しい影が忍び寄り……。そこには予期せぬ謀略が隠されていた。果たして、剣一郎は男を救えるのか。

 「人待ち月 28」

二十六夜待ちに消えた姉の帰りを待ち続ける妹。 十五夜に伜が帰ってくると信じてやまない老人。 家族の悲哀を背負い、彼らの行方を追う剣一郎が 突き止めた予想外の真実とは!? 二十六夜待ちの晩、高級料理屋『松風』の看板娘おゆきが姿を消した。女将は遊び人の冬吉と駆け落ちしたと決めつけるが、青柳剣一郎は女将の頑なな態度に不審を抱く。おゆきの妹おしゅんも、そんな相手はいないと証言。数日後、大川に冬吉が無惨な姿で浮かび……。二人の身に一体何が? おゆきの安否は? 妹の想いを背負う剣一郎が、隠された真実を炙り出す!

 「まよい雪 29」

かけがえのない人への想いを胸に 佐渡から帰ってきた男二人が選んだ、悪への道。 それは大切な人を救うためだったが……。 佐渡から江戸へと帰り着いた鉄次と弥八。鉄次は水替人足として酷使されるなか、唯一の支えが許嫁のおきみだった。だが、苦界に沈んだと知らされ、身請金のため押込み一味に。一方、弥八も親友のため、ある企みに加担しようとしていた。弥八はかつての恩人青柳剣一郎を頼るべきか悩むが……。大切な人のため、悪に染まろうとする二人。剣一郎の救いは間に合うのか?

 「真の雨 上 30」

本当の忠義とは何か 野望に燃える藩主と、度重なる借金に疲弊する藩士。 どちらを守るべきか苦悩した家老の決意は──。 困窮する彦崎藩は財政再建に迫られていた。藩内では茶と椎茸の栽培に期待をかけるが、野心家の藩主・隆興は幕閣への道を志す。重荷になる多額の賄賂に藩が割れる中、領民からの信頼の篤い江戸家老・大藤主水は苦悩の末、忠義を貫き隆興を支持。一方、反隆興派は藩を守るべく主水の暗殺を企んだ。そこに、青柳剣一郎は密かに主水の警護を依頼され……。

 「真の雨 下 31」

恨みと欲が絡み合う大陰謀 完璧に思えた“殺し”の手口の綻びを見つけた剣一郎。 利権に群れる巨悪の姿をあぶり出す! 莫大な賄賂の金策に走る彦崎藩江戸家老の大藤主水が、刺客に襲われた。護衛の青柳剣一郎は主水を守り抜くが、賊の手際のよさに疑問を抱く。やがて反隆興派の内通者の存在が判明、諫めることで藩はまとまったかと思えた。だが、藩の特産品支配を狙う者の暗躍が……。武士にとって真の忠義とは。緻密な陰謀の真相究明に、剣一郎が江戸の町を疾駆する!

 「善の焔 32」

付け火の狙いは何か! 牢屋敷近くで起きた連続放火。 くすぶる謎を、風烈廻りが解き明かす! 強風吹き荒れる大伝馬町で、火の手が上がった。青柳剣一郎たち風烈廻りの働きで小火に済むが、数日後、今度は通旅籠町で付け火未遂が起きる。しかも、犯人を目撃した男が刺された。当夜の風向きからすると、狙いは牢屋敷の解き放ちか!? 死罪で入牢中の五人と関係の深い者を探る剣一郎。やがて、事件の真相が人の心に棲む“善と悪の奥深さ”にあると気付くが……。

 「美の翳 33」

"人の弱さ"をどう裁く 銭に群がるのは 悪党のみにあらず…… 奇怪な殺しに隠された真相とは!? 太物店『山形屋』の主は、店に置き忘れられた三十両の持主探しに嫌気がさしていた。貼紙をしても現れるのは偽者ばかり。ついに本人かと安堵するも、受け取りに来たのは代理の男だった。それでも主は男を信用するが、話を聞いた青柳剣一郎はあまりの大金と都合のよい話に不審を抱く。しかし、男はすでに行方をくらましていた。同じ頃、掏摸の死体が発見され……。

 「砂の守り 34」

殺しの直後に、師範代の姿。 見間違いだと、信じたいが…。 鮮やかな斬り口だった。矢先稲荷脇で発見された死体を検死した青柳剣一郎は剣客による犯行と判断。 三月前の刃傷事件と絡め、連続殺人を疑い探索を始める。 浮上したのは同じ頃に一刀流仁村道場の師範代を辞め、姿を晦ました神村左近という男だった。 一方、その道場の門弟高岡弥之助は事件当日、現場付近で左近を目撃、独自に追っていたが、第三の死体が発見され……。

 「破暁の道(上) 35」

愛する人はどこへ消えた。 周次郎の女房おきみが失踪した。実家の大店の質屋『甲州屋』の差金だと考えた周次郎は、亡父の今際の際の言葉を手がかりに、甲府へ女房捜しに向かう。だが、旅の途中、謎の刺客に襲われる。一方、悪質な金貸し妹尾別当を探る青柳剣一郎は、妹尾と『甲州屋』の関係を語る家訓に違和感を覚えていた。やがて江戸で起きた破落戸の連続殺しが、新たな事件の始まりとなる。

 「破暁の道(下) 36」

江戸と甲府を繋ぐ謎の"家訓" 刺客の魔手から逃れた周次郎だったが、辿り着いた甲府で再び命を狙われる。誰が、何のために? 青柳剣一郎と縁ある旗本高岡弥之助の手助けで、おきみを捜しに亡父の遺した"言葉"の謎を追う周次郎は、『甲州屋』の誕生に黒い利権が渦巻いているのを知る……。その頃、江戸で金貸し妹尾別当の素性を洗っていた青柳剣一郎は、江戸と甲府を繋ぎ暗躍する、闇の組織に立ち向かう!

 




 「天地に燦たり」 (川越宗一、文春文庫)
 「ラプラスの魔女」 (東野圭吾、角川文庫)
 「たこ焼きの岸本」 (蓮見恭子、ハルキ文庫)
 「あと少しもう少し」 (瀬尾まい子、新潮文庫)
 「そして、バトンは渡された」 (瀬尾まい子、文春文庫)


 「ジョン万次郎漂流記」(井伏鱒二、偕成社文庫)
 「椿と花水木 万次郎の生涯(上下)」(津本陽、幻冬舎時代小説文庫)

 「漂巽紀略(ひょうせんきりゃく) 全現代語訳」(ジョン万次郎述 河田小龍記、講談社学術文庫)
 「ジョン万次郎の英会話」(乾隆、Jリサーチ出版)
 「中浜万次郎の生涯」(中濱明、冨山房)
 「中濱万次郎−「アメリカ」を初めて伝えた日本人ー」(中濱博、冨山房インターナショナル)
 「ジョン万次郎」(中濱京、冨山房インターナショナル)

 「ジョン・マン5立志編」(山本一力、講談社文庫)
 「カズサビーチ」(山本一力、集英社文庫)
 「龍馬奔る 土佐の勇」(山本一力、ハルキ文庫)
 「桑港特急」(山本一力、文春文庫)

 「つばき」(山本一力、光文社文庫)
 「だいこん」(山本一力、光文社文庫)
 「たすけ鍼」(山本一力、朝日文庫)
 「たすけ鍼 立夏の水菓子」(山本一力、朝日文庫)
 「銀しゃり」(山本一力、小学館文庫)
 「たまゆらに」(山本一力、文春文庫)
 
 


 「全世界史 下巻」(出口治明 、新潮社文庫)
 「じゃりン子チエ」2,3(はるき悦巳 、双葉文庫)
 「本能寺の変 431年目の真実」 (明智憲三郎、河出文庫)
 「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」(大木 毅、岩波新書)
 「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵、中公新書ラクレ)
 「死の淵を見た男」(フクシマ・フィフティ)(門田隆将、角川文庫)
 「日本の『運命』について語ろう」(浅田次郎、幻冬舎文庫)
 「ハーバードはなぜ基本を大事にするのか」(佐藤智恵、日経プレミアシリーズ)
 「歴史能力検定 2019年実施 全級問題集」(歴史能力検定協会、河合出版)
 「歴史能力検定 2級問題集 過去問」(歴史能力検定協会、河合出版)
 「詳説 日本史B 改訂版」(笹山晴生 佐藤信 五味文彦 埜利彦ほか15名 山川出版社)
 「ノモンハンの夏」(半藤一利、文春文庫)
 「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」(加藤陽子 、新潮社文庫)
 
 



 
 
 
 



「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵)

 ハーバード10教授の白熱授業から見えた日本の魅力とは
 なぜ世界最高の知性は日本史から学ぶのか

 「ルーズベルトは前出のセオドア・ルーズベルトの縁戚で、1933年から1945年まで大統領を務めた。アメリカ史上、唯一四選された大統領であ り、世界恐慌後、及び、第二次世界大戦時に行った経済政策は国内で高く評価されている。一方、人種差別的な政策を推進したことについては批判さ れており、評価がわかれる大統領だ。」(佐藤智恵)

 「私は大学時代に半年間盛岡市に留学していましたし、大学卒業後も宮古市の小・中学校で2年間、英語をおしえていましたから、被災地には 特別な思いがあります。1994年まで宮古市に住んでいましたが、本当に美しい町でした。」「(宮古市の防潮堤を津波が乗り越えていくニュースに触れて) 私は被災地の方々が歴史から学んでいない、と言っているわけではありません。田老地区の人々は、そこがそこが津波におそわれる危険性のある地区だと いうことを知っていたからこそ、巨大な防潮堤を建設したのです。地元の人々も大変誇りに思っていました。ところがその防潮堤は、限られた短い期間の データをもとに津波の高さを予測してつくられたものでした。私たち歴史学者の役目は地質学者などと協力して、長い歴史からの教訓を伝えていくことだ と思っています。」(イアン・ジャレッド・ミラー教授)

 ふと、日本の歴史に関して、同じような素晴らしい本があったことを思い出して探してみたところ、『戦争の記憶』(キャロル・グラック コロ ンビア大学特別講義)を発見することができました。なかなか刺激的な講義でした。

 ならば、日本人でそんな人はいないのかと探してみたところ、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子 東京大学大学院人文社会 系研究科教授)を思い出しましたが、まだ発見に至りません。





「椿と花水木 万次郎の生涯(上下)」(津本陽)

ジョン・マン(アメリカでの通称。旗本に召し抱えられ、中濱万次郎となる)がホイットフィールド船長の養子となり、バーレット・アカデミーで英語・数学・測量・航海術・造船技術を学び、首席で卒業した後、捕鯨船に乗り込みます。当時の捕鯨業の中心は太平洋で、何度も日本に近づきながら帰国できないところまで来ています。キャサリンと結婚し、新妻を残してニューベッドフォードから出ていく前に、子どもの名前を付けて欲しいと頼まれました。ジョン・マンが答えたのは、男ならドッグウッド(花水木)、女ならカミーリア(椿)でした。。

捕鯨船に乗って、 3年後にヌーベッホー(ニューベッドフォード)に帰って来たとき、キャサリンの行方不明(事故死)を知らされるという過酷な運命が待っていました。日本に帰ることを決意するに至った最大の理由です。




「密やかな結晶」(小川洋子)

なんだか、村上春樹さん風の仕掛けのような感じで、困りました。実は、この作品は英文学界の「ブッカー国際賞」候補にノミネートされているそうで、受賞作の発表は5月19日です。ドキドキものですね。まだまだ新型コロナは終わっていないばかりか、さらなる混乱もありうるころですねぇ。。

ブッカー賞の発表は5月19日の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年の夏まで延期となった。
ブッカー国際賞は2005年に創設。2018年に受賞したポーランドの女性作家オルガ・トカルチュクさんは、2019年にノーベル賞を受賞。アジア圏では、2016年に韓国のハン・ガンが「菜食主義者」で受賞している。


「いいえ、父がよく言っていましたわ。おまえが母さんから受け継いだのは、虫歯のないその丈夫な歯だけだって」

「歯が美しいことは大切なことだよ」

「母は仕事場の机に、いつも新聞紙にくるんだイリコを置いていたんです。それをムシャムシャ食べながら仕事をしていたの。ベビーサークルに閉じ込められたわたしがぐずりだすと、まだ歯も生えていない口の中に、イリコを一匹放り込んで、黙らせていたそうなんです。おがくずや石膏の匂いが混じり合ったその味を、今でも覚えています。ジャリジャリして、ひどい代物だったわ」

誰の足跡もついていない、無償の雪だった。

血をきれいにする青菜が一束、など。




「ジョン万次郎漂流記」(井伏鱒二)

失礼になるかもしれませんが、これで直木賞を受賞したとは信じられないことです。
参考文献としては次の二つくらいなものですから、それなりに頑張ったのでしょうか?

・川田維鶴(河田小龍)撰 『漂巽紀畧』 嘉永5(1852)年 :漢文で書かれています
・中濱東一郎編著『中濱萬次郎傳』冨山房、1936年

「漂巽紀略(ひょうせんきりゃく) 全現代語訳」(ジョン万次郎述 河田小龍記、講談社学術文庫、2018年)にほとんど近いものだと思いました。

1860年3月18日のサンフランシスコ・アルタ・キャリフォルニア新聞で「勝艦長は航海中、ほとんど病気(船酔い)で寝どおしであった」とか、 同アルタ新聞では「日本軍艦の艦長(勝麟太郎)は、英語を書物を読むような調子で話す」などと、勝海舟がらみで、実にそれらしきことがあったことことが可笑しかったくらいです。






「中濱万次郎−「アメリカ」を初めて伝えた日本人ー」(中濱博)

中濱博は、中濱本家4代目(万次郎の曾孫)です。あっという間に読み終えてしまいました。数々のことが判明しました。

「万次郎に女性関係があれば面白い話になるとは、いつも作家の方から聞く言葉である。かなり著名な歴史小説作家ですら万次郎をアメリカで結婚させてしまっている」

wikipediaでは

津本陽『椿と花水木?万次郎の生涯』注:アメリカ時代の妻として登場する“キャサリン”は筆者の創作による架空の女性。

真相の解明をしたかったわけですが、早々に明らかになりました。それはそれで残念な気がします。 日本に戻ってから3人の日本女性と結婚した万次郎は、アメリカ的だったのかも知れません。 






 「龍馬奔る 土佐の勇」(山本一力)


龍馬「あにやんの話はおもしろいき、ねえやんもここにおって聞いたらええやいか」
小龍「いまもまだ、長崎奉行所に留められちゃうがやけんど‥」
小龍「聞けば聞くばあ、あの三人は大した連中じゃど、おまさんやち分かるはずぜよ」
小龍「三人のなかでは、中ノ浜が在所の万次郎いう男が一番下で、今年で二十四になったそうや」
(万次郎は)
小龍より四歳歳下だが、龍馬からみれば七つ歳上である。
自分の歳と比べながら、龍馬は小龍の話に聞き入っていた。

あにやん(河田小龍)ねえやん(乙女)

さすがに、龍馬が宇佐浦まで網元の徳右衛門に三人の無事を知らせに行くところなど、本当かな?と思ってしまいますが、 龍馬の話の中にしばしば登場するアメリカの共和制とか、ジョージ・ワシントンの話など、小龍や万次郎がらみでなければあり得ないと思いますね。

しかしながら、万次郎と龍馬が直接会ったという話はなさそうです。お互いに忙しいわけで、仕方ないと思ってしまいます。



「ジョン万次郎の英会話」(乾隆)

『英米対話捷径』復刻版・現代版

ちなみに、乾隆氏は高知県の隣にある徳島県の人である。

What time is it now? 「掘った芋いじるな」は決して万次郎のものではない。

《 今でも使える 万次郎英語 》

air  アヤ
book  ホック
look  ロック
chirdren  チリレン
family  ファマレ
fog  フホーグ
headach  ヘディキ
hot  ハータ
town  タヲン
imagine  エマジン
morning  モーネン
never  ナウバ
new  ヌー
nothing  ナセン
power  パゥワ
quite  コワイテ
weather  ワザ
well  ウワエル
at all アッタ ヲール
long while  ローン ホワイル
with you  ウエサ ユー
He cannot ヒー キャノーッタ
I think アイ センカ

I thank you. アイ サンケ ユー
I am happy to see you in good health. アイ アム ハパ ッ シー ユー イン グーリ ヘルス
Hold your tongue. ホール ユーア タン
Are you coming? アー ユー カメン
Will you go with me? ウエル ユー ゴー ウェザ ミー
I never saw one like it. アイ ナブハ ソーワ ワン ライケ イータ




「中浜万次郎の生涯」(中濱明)

中濱博は、中濱家3代目(東一郎の三男、万次郎の孫)です。

竜馬と万次郎の接点(出会い)が明らかになりました。 ずっと後の事になりますが、竜馬が江戸に出ていたころ、勝海舟の紹介で万次郎に引き合わされて初めて会うのですが、 土佐の画家で、西洋の事情にくわしい河田小龍の書いた万次郎の海外見聞録ー漂選(巽が正しい)紀略を竜馬は早くに読んでい たもので、この時、初対面という気はしませんでした。竜馬は八歳年下です。

中濱家2代目(東一郎、万次郎の長男)の書いたものは余りにも高額なので、購入を控えたいと思います。その日記の一部は「中浜万次郎の生涯」(中濱明)でも明らかになっていますし。。




「日本の『運命』について語ろう」(浅田次郎)

幕末の名君、高須四兄弟

美濃の高須藩主松平義建よしたつ(尾張の支藩 三万石)の次男、義勝よしかつ は尾張徳川家の養子となり、徳川義勝となる。尾張藩の財政を立て直すときに城の御殿に商人を呼んで,膝詰めで談判する。 幕府が第一に長州征伐を行ったときに征討軍総督に選ばれたのが元尾張藩主徳川義勝(参謀は西郷吉之助)でした。戦いを避け、長州藩が帰順を示すと征討軍をさっさと解散してしまいます。 その後、長州藩で再び勤王派が実権を握ったとき第二次長州征伐には反対します。そして、大政奉還後には、新政府側につくのです。議定という新政府の官職に就いて藩内の佐幕派を押さえつけ、 東海道を江戸まで攻め上っていくときの先頭は尾張藩が務めました。長州征伐のころは藩主を退いていた徳川義勝ですが、動乱の世になって再び藩主に就きました。 よほど時代が見えていたと思いますね。戊辰戦争の会津攻めには、さすがに尾張藩は兵力を送っていません。

弟たちもそろって優秀でした。いろんなところへ養子に行って藩主を継いでいます。

松平容保かたもり(会津松平家):京都守護職
松平定敬さだあき(桑名久松松平家):京都所司代
徳川茂治もちはる(一橋徳川家)

参勤交代に甲州街道を使っていたのは高遠藩、高島藩、飯田藩の三家だけです。一方、中山道はおよそ三十家の大名行列が通っていました。 下諏訪宿から難所の和田峠を越えて佐久盆地に入り、軽井沢から高崎、大宮、板橋へと繋がっているのが中山道です。 この下諏訪宿は甲州街道の起点でもあります。なぜ甲州街道を使わなかったのか。中山道に比べて、格別に険しいわけでもなさそうです。ただ、宿場や道路状況といったインフラは 中山道の方が整っていたようです。甲州には金山がありましたし、江戸時代を通じて幕府の直轄領、天領だった期間も長い。もしかすると軍事上の意味で、通行を増やさないような 深慮遠謀があったのではないか、というのが私の想像です。







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