真夏の天王寺動物園を訪ねる 

2005年8月


暑い夏、ちょっとでも涼しい小雨の日を選んで天王寺動物園に行ってきた。 2年前にも「地下鉄ラリー」で行ったが、そのときには気もつかなかったわけである。 あの時工事中だったアフリカサバンナを覗いてみたいと思った。 もちろん、切符売り場で慰霊碑の場所を教えていただいた。









ここで亡くなったすべての動物たちのための慰霊碑 ということで、戦争のことには触れていなかった。





新しく完成した「アフリカサバンナ」の一角です。





クロサイがシャッターチャンスをつくってくれました。



朝日新聞に載っていた下の記事が、わたしを真夏の天王寺動物園まで連れて行きました。 まことに暑い日でしたが、動物たちの慰霊碑を見つけてよかったと思います。 何も知らないから、何も考えない。身近であっても、普段なら見過ごしてしまったはずです。




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犠牲の動物 子ら合掌(阪本輝昭) 朝日新聞 2005年7月
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 43年秋、あのヒグマは「処分」された。軍の圧力だった。太平洋戦争の戦局が悪化。空襲で織が壊され、猛獣が逃げ出すのを避けるためという理由だった。ライオンもトラもオオカミも‥‥計26頭。毒入りの牛肉を食べて絶命した。どうしても食べなかったヒョウは、ロープで首を絞めた。

 ある飼育係は処分の前日、写真を撮った。きょとんとするトラを沈痛な表情で抱きしめていた。「大阪四天王寺公園70年史」にこう記されている。

 「慈しみ育ててきた担当者にとって、なんという非常なしうちであったことだろうか」

 45年3月、動物園内にB29が約2千発の焼夷弾を落とした。インコやオオワシなど33羽が焼け死んだ。

 「動物の霊のために」。こう刻まれた慰霊碑が、天王寺動物園の一角に建つ。高さ2.4メートル、幅5.8メートル。15年の開園以来、死んだすべての動物たちを悼む碑だ。すぐ隣のポールに千羽鶴が揺れていた。